課長、わたし育休を数か月取りたいんですが!
育休をどのぐらいの期間取るか。
実はあまり悩みませんでした。
前回の記事で書いた妻の職場の子育て中の男性職員の人が、
「育休取得は子供と接する時間が持てるっていうことももちろんメリットだけど、まとまった期間仕事から離れられるというのもなかなかないことだから」
と言ってたよ、と妻が言います。
ああ確かに。
自分は4年前に転職をしました。新卒で就職した民間企業に8年弱勤めましたが、思うところあって地方公務員になりました。前職は1月中に退職し、役所への入庁は4月1日だったので2か月強無職の期間がありました。
その時はここぞとばかりに旅行ばかりしていて、とても充実していました。
社会人になってしまうとそれだけ長期に渡って休めることはないので、それまでのことを振り返ったり、新しい仕事のことに思いを馳せたり、いい機会でした。
ですから、育休もどうせ取るなら数日や数週間のスパンではなく、数か月取りたい。
現在の自分の職場はイベントを多く抱えている部署なのですが、それが秋に固まっていることから、冬から初夏ぐらいまでは比較的部署全体の業務量に余裕があり、育休を取ってもさほど影響は出にくいのではないか、と考えました。
出産予定日が12月15日でしたが、仕事では11月末に年間最大のイベントを抱えており、終了後も残務処理が多少あることから、
・12月(出産前後)は有休や出産立ち合いの休暇等を活用しながらやりくりすること
・1月にかけて残務の引継ぎを行う
ということで有休消化も含めて1月後半から休みに入り、次年度部署の仕事が本格的に忙しくなる秋口、つまり9月1日に復帰する、という方針を固めました。
純粋な育休の期間は2月1日から8月31日までの7か月間です。
生後9か月ぐらいまでですから、おすわりやハイハイから立つかどうか、あるいは喃語からだんだん言葉を発する手前のレベルぐらいまで、日々の成長をリアルタイムで見られるのかな、ということが楽しみです。
ここまで、ほぼ自分(と妻)だけで決めました。9月末か10月前半ぐらいの頃だったと思います。
子供ができることを職場に報告してから、「育休もちょっと考えてみます」などと世間話程度に言ったことはありましたが、上に書いたような具体的なプランは割と短期間で考えたので、特に職場には事前の相談はしていません。
ではそれをいつどういう形で上司に相談すべきか、タイミングを計っていました。制度上は育休期間が始まる1か月前までに申請することにはなっていますが、当然組織人事にもかかわることなので直前ではまずい。
しかし、上にも書いたように秋は職場の繁忙期なので、なかなか話すきっかけもつかめませんでした。
そんな中、ある日、上司である課長から係長に来年度の人員体制について人事から調査が来ている、というような話をしているのが聞こえてきました。後で手遅れになってはいけないので、今がチャンスと思い、課長の席に行き
「あのう、年明けから年度をまたいで数か月間育休を取りたいと思っているのですが」
と伝えました。
課長は少し驚いた様子で「奥さんも育休を取るんだよね?夫婦同時に取れるんだっけ?念のため制度を確認しておいて。可能であれば制度で認められていることなのでもちろん了解です。」と言ってくれました。(もちろん制度上夫婦の同時取得は可能で、改めてそれが書かれている人事のマニュアルを示し理解を得ました。)
そのやり取りをその時職場にいたメンバーは聞いていたので、課長との話が終わるとみなさん口々に話しかけてきました。
「自分の時はそんな制度なかったからうらやましいなあ。しっかり育児がんばってね。」
「そんなに休めていいなあ。仕事復帰する気なくなっちゃうんじゃないの。」
「今どきのイクメンですね。」
などなど、皆さん好意的でありがたかったです。
そして、その後12月になってから具体的な取得スケジュールについて課長・係長と話をし、担当していた業務を誰に引き継ぐか、懸案はどのようなことかを相談しました。
たまたま、勤めている役所の首長が、男性職員も積極的に育休が取れるよう、管理職が配慮するなど全庁的に取り組むべし、という通達を4月に出していました。
そういったこともあって職場の理解は得やすかったと思います。
また、もともと男女が均等に仕事をすること、有休等の権利を行使することが当たり前という雰囲気が定着していたことも幸いでした。(このあたりの民間企業と役所の違いなどについては改めて別の視点で書こうと思います。)
もちろん、年度途中で課員が一人減ったわけですからいかに繁忙期ではないとはいえ他の方の業務量が増えることになり申し訳ないと思いますし、それが周りからどう思われているかは正直分かりません。
ただ、引き継いでもらう人や関係先に迷惑や負担をかけずスムーズに引き継げるよう、自分の仕事の棚卸しやマニュアルの作成などを精一杯行うことで、せめてその負担を軽減できれば、ということは常に考えていました。
また、育休から復帰した後には、仕事で子供や子育て世帯にかかわったり、職場で子育てをしている他の職員に接する際などに、自分が育児で感じたことを活かして様々な心配りができるようになろう、とも思っています。
ともあれ、このような経緯で7か月間の育休を取ることとし、幸い職場の理解もスムーズに得られることとなりました。
巷で言われている男性が育休を取得しない、あるいはできない理由として、
・上司の理解が得られない
・収入が減り経済的に難しい
・代替人員がいない
・自身のキャリアに悪影響を及ぼす
というような理由が挙げられるようですが、このあたりのことについて自分がどう考えているかについては次回書いてみようと思います。